Kawanishi, H. . BRILL, 2015, 177p, 9789004274334.
2011年3月11日、东北地域はマグニチュード9の地震に袭われ、震源地に近い太平洋岸には巨大な津波が押し寄せました。この地震は、东北地域はもとより、歴史研究においても大きなターニングポイントと考えられています。长い歴史の中で、东北地域は自然环境的な宿命と戊辰戦争(明治维新)の败北から、国民国家が统制と繁栄の欲望をかなえるための「后进地」の役割を押し付けられてきました。河西先生の着作では、东北地域がさまざまな労苦や过去の偏见に打ち胜ってきた歴史に焦点をあて、东日本大震灾からの復兴にも楽観的に立ち向かう、エネルギーと勇気を持った地域であることを、歴史的観点から立証します。

(かわにし ひでみち)
教授
大学院文学研究科 総合人间学讲座
研究分野 人文学 / 史学 / 日本史
本书は2015年夏にオランダのブリル社より、〈地域空间?文化と东アジアのアイデンティティ〉シリーズの二册目として、刊行されました。以下、本书における私の议论の概要です。
近代国家とは、国民国家であると言えます。しかしそれは统一や平等をもたらすような优しいシステムではありません。「発展」の名のもとに、特定の地域が国家の犠牲になってしまうシステムでもあります。国民国家は不平等と差别の体系を再生产し拡大するために、东北の宿命的なイメージを地形学に结びつけて利用しました。国民国家日本は统制と繁栄の欲望をかなえるために、东北に「后进地」、すなわち国家や中心に従属する劣等空间の役割を押し付けたのです。


河西教授の着书
私たちは日本史において、このような强要された服従が重要な意味を持っていたことを忘れてはいけません。先进と后进、あるいは中心と周縁という二元的认识は、ナショナル?ヒストリーを理解するうえで有効です。しかし、后进とか周縁といったレッテルが先进とか中心を前提にし、それに従属する添え物であることは明らかです。东北へのそうしたレッテルの贴り付けは、东北の歴史的な个性や可能性を见落とすことになります。概して、东北の歴史世界は可能性と同じように深さや広さも无视されてきました。今日に至るまで、日本列岛の歴史イメージは极端に単纯化され、映りが悪い白黒写真のように、「歴史ある地域」「胜者の地域」と「歴史なき地域」「败者の地域」に二分されてきました。そして东北は后者の典型として位置づけられてきたのです。

东日本大震灾発生当时の様子(気仙沼市)

復兴を愿うキャンドルナイト
2011年3月11日、东北はマグニチュード9の地震に袭われました。それは世界最大级の地震でした。その后、震源地に近い太平洋岸に巨大な津波が押し寄せました。この地震によって私たちは新次元の生活の开始を余仪なくされました。日本でおこった3.11は间违いなく、アメリカでおこった9.11に匹敌するターニングポイントとして记忆されることでしょう。好むと好まざるとにかかわらず、私たちは歴史研究の新世纪に突入しました。私たちは古い歴史イメージや研究方法を捨て去らねばなりません。本书がこれからの长い航路の船出となるならば、これにまさる喜びはありません。本书は东北で繰り広げられた悲剧の歴史物语ではありません。むしろ、3.11から生じた未解决の问题があるにもかかわらず、东北はさまざまな労苦や过去の偏见に打ち胜ち、楽観的に未来に立ち向かう、エネルギーと勇気を持っていることを歴史资料によって开示せんとする希望の书なのです。

この记事は、学术?社会连携室と広报グループが作成したものです。