础驰础世代とは
AYA(Adolescent and Young Adult)世代とは、思春期から若年成人期を指します。年齢の定義はさまざまですが、当部門では、主に15歳以上40歳未満の年齢層を対象としております。
础驰础世代の“がん”の特徴
AYA世代のがんは、全てのがんの約2%程度を占め、年間20,000人程度が発症していると推計されています(2018年の予測全がん罹患数は1,013,600人)。罹患するがんの種類が年代ごとに大幅に変化するという特徴があり、15歳未満の小児に発生する、いわゆる「小児がん」と比べて、罹患率も年齢の上昇に応じて少しずつ高くなっていきます。 「AYA世代に発生するがん」(础驰础世代がん)は、小児がんと比較して一般的に治療成績が悪く、生命予後が不良です。この原因として、AYA世代では、小児がんと成人がんのいずれもが少数ずつ発生しますが、それぞれの患者さんの数がきわめて少ないため、最適な治療法が確立していないという理由が考えられています。また、础驰础世代がんは発見が遅れることが多く、しばしば難治で治療方針の決定にも高度の専門性が要求されます。日本では础驰础世代がんに対する専門家が少ないことも問題となっています。
小児?础驰础世代のがん种の内訳

出展:より
础驰础世代特有の问题
础驰础世代は、学校生活や就职、仕事、结婚、妊娠、子育てといった、生活环境、社会环境が剧的に変化する独特の年代です。それぞれの时期における特有の问题を以下に示しました。
高校生~大学生?进学
义务教育ではないため、小学校や中学校のような“院内学级”がありません。勉强の内容がとても难しくなる时期で、短期间の入院でも大きなハンデとなります。治疗期间が长くなる病気も多く、休学せざるを得ないこともあります。これらの影响で、进学が难しくなる可能性があります。学业と病気の治疗の両立を目指すことはとても大切です。滨罢を用いた学习システムの整备や、地域医疗机関と连携し外来管理を中心とする治疗を选択することも考虑されます。
就职、免许の取得
础驰础世代前半の思春期は、心身が成熟して亲から自立していく过程ですが、病気の治疗や后遗症が、进学?就职?免许の取得等に影响を与え、人生设计や将来の梦の変更を余仪なくされる可能性があります。心理面のサポート、必要な情报の供给、精神的ストレスの軽减は重要です。
结婚、妊娠、パートナーの妊娠
自分の子供を作る能力のことを“妊孕能(にんようのう)”といいます。がんの治療を開始すると、妊孕能が低下したり、失われたりする可能性があります。将来の挙児希望の意思を確認し、妊孕能を温存するための支援を行うことは础驰础世代がんの治療では重要な取り組みです。
仕事、子育て
この年代でのがん治疗は、家庭生活、社会生活への影响がとても大きいものです。患者さん本人や家族の负担を軽减するためには、日常生活への影响を最低限にする必要があります。地域医疗机関と连携して外来治疗への移行をスムースに行い、入院期间を可能な限り短缩する取り组みが必要とされます。
「础驰础世代がん」の社会保障制度の欠如
公費負担制度という観点でも「础驰础世代がん」はサポートされていないという問題があります。小児がんに対する「小児慢性特定疾患」は18歳未満が対象で、18歳以上には適用されません。重症な状態となった患者さんに適用される介護保険も40歳以上が対象となっており、AYA世代に発生するがんの経済的負担が問題となっています。
础驰础世代に特化した保障制度はありませんが、一般的な制度の利用は可能です。経済的问题や福祉用具レンタル?介护などのサポートについては、以下の相谈窓口へご相谈ください。
広岛大学病院の取り組み
広岛大学病院では、2018年4月にAYA世代の診療を専門とする診療部門を設立し、小児がんを専門とする診療科と若年成人から成人のがんを専門とする診療科が密に連携を取れる体制を作りました。
具体的には小児科、小児外科、血液内科、がん化学疗法科、脳神経外科、乳腺外科、泌尿器科、、整形外科、产科妇人科、歯科(顎?口腔外科/口腔顎颜面再建外科)、放射线治疗科、放射线诊断科、病院病理诊断科、リハビリテーション科、缓和ケアチームなどが连携します。さらに、チーム医疗として、看护师、薬剤师、リハビリテーション(理学疗法士?作业疗法士?言语聴覚士)、ソーシャルワーカー、チャイルドライフスペシャリスト、心理士、栄养士が协力し、将来への不安、妊孕能の温存?生殖サポートなどの础驰础世代に特有のさまざまな问题点に配虑しながら、豊富な治疗経験を生かして、最善の医疗と日常生活?社会生活のサポートを提供できるように取り组んでおります。また、个々の患者さんを全人的に支援し、适切な诊疗方针を検讨するため、多职种チームによる础驰础世代キャンサーボードを定期的に开催しています。
院内がん登録データからみる础驰础世代がんの診療実績(2019-2023) (159.03KB pdf)
础驰础世代相谈内容(2023年度)(151.79KB pdf)
さらに、患者さんのニーズに応じた医疗を提供するため、院内の连携チームに加え、院外にネットワークを形成し(外来诊疗ネットワーク、妊孕性温存ネットワーク、就职ネットワーク、缓和医疗ネットワーク)、积极的に取り组んでいく予定です。
「础驰础世代がん」治療後の晩期障害と長期フォローアップ
小児がん経験者が増える中で、がんそのものや治療の影響によって、長期間経過後に障害を起こす可能性があることが分かってきました。これを晩期障害と呼びます。晩期障害にはさまざまな種類がありますが、病気の種類や受けた治療の種類によって、どのような晩期障害が起こる可能性があるか、ある程度予測することが可能になりました。「础驰础世代がん」治療後にも、小児がんと同じように晩期障害を起こす可能性があることが指摘されています。広岛大学病院では、「础驰础世代がん」経験者の方が過去に受けた治療内容を把握して、必要に応じて専門家に診てもらえるよう調整を行い、多職種と連携して長期間のフォローアップを行い、必要に応じて検査、治療を行っていきます。他の病院で治療を受け、広岛大学病院には受診歴がない「础驰础世代がん」経験者の方も受診可能です。かかりつけ医の先生に相談のうえ、当院宛ての紹介状をご用意ください。