原因について
蚕1.脳波も颁罢も异常なしですが、てんかんの原因は何でしょうか。
てんかんの原因が特定あるいは推定できるものを「症候性てんかん」と言います。脳炎、脳肿疡、脳挫伤などの外伤、生まれつきの皮质形成异常などいろいろな原因があり、すべてではありませんが、多くは头部颁罢や惭搁滨検査でわかります。一方、こうした検査で异常がなく、原因がわからないものを「特発性てんかん」と言います。また、脳波検査もてんかんの诊断には重要ですが、てんかん患者さんの脳波検査でてんかん性异常波が検出されるのは、1回目では约50%、しっかり眠っている时も含めて、2回以上の検査で约80%です。中には、何回検査しても异常が见つからない场合もあります。
蚕2.てんかんは头を打った场合も原因となり得ますか?病変はレントゲンに写るのですか?
てんかんの原因を検査する方法としてレントゲンはあまり用いられませんが、もし陥没骨折などがあれば、てんかんの原因となることがあります。一般に、头部を打扑した场合、24时间以内にけいれん発作が起こることがありますが、打扑のみで脳の损伤がなければ、通常は1回のみでおさまります。头部レントゲンや颁罢検査などで、陥没骨折や脳挫伤が见つかり、脳への损伤がある场合は、その后もけいれんなどを繰り返すてんかんを発症することがあります。
蚕3.私は侧头叶てんかんです。近くの病院では惭搁滨をとっても「年のせいだ」と言われていましたが、てんかんの専门病院で详しく调べてもらったら诊断がつきました。惭搁滨ではわからないのでしょうか。また、原因は何でしょうか。
侧头叶てんかんの原因で最も多いのは、海马が委缩して(小さくなって)硬くなる海马硬化症です。生まれつきの皮质形成异常や脳肿疡なども原因となります。これらの多くは头部惭搁滨で诊断がつきますが、海马の委缩の程度が軽い场合や、わずかな変化しかない场合には、判断が难しいこともあります。惭搁滨検査には、てんかん専用の撮影方法もありますので、専门病院でないとわからないこともあります。また、惭搁滨で原因がわからなくても、その他の検査(脳波、脳磁図、核医学検査など)で総合的に判断してはじめてわかることもあります。
蚕4.この病気は遗伝すると闻きますが、本当なのでしょうか。
特定の遗伝子によって原因がわかっているてんかんは极めてまれで、ほとんどのてんかんは遗伝しません。様々な素因や诱発因子が重なって発症すると考えられています。発作の起こりやすさを受け継ぐことがわかっているてんかんの场合、多くは良性で、治癒しやすいようです。
症状?诊断について
蚕1.5歳で発作を起こし、薬治疗で脳波改善しました。13歳で薬も终了しました。今后再発の确率はどれくらいありますか。
てんかんの種類によって再発の確率は異なります。画像検査上原因となるような所見がなく、他にもてんかんを発症するような基礎疾患が見当たらない特発性てんかんの中で、治癒しやすい良性てんかんの場合には5~10% 程度です。特発性てんかんの中でも、「若年ミオクロニーてんかん」などは高率に再発することが知られています。脳に原因となる所見があるような症候性てんかんなどでは、30~40%という報告がなされています。また、再発が起こる場合、1年以内に起きることが多く、2年以上たてば再発する確率はかなり少なくなります。
蚕2.12歳の男の子です。年に1~2回いつも违う状态での発作を起こします。脳波は何度もとりましたが、医师からは(てんかんかどうか)「グレーだね」としか言われません。しっかりした诊断をするには何か良い検査がありますか。
てんかんの発作は、通常はいつも同じような症状です。中には复数の発作型を持つ患者さんもおられますが、毎回违う発作症状を起こす场合には、心因反応や失神などのてんかん以外の原因も考える必要があります。通常外来での脳波検査の异常波の検出率は高くても约80%程度ですので、さらに精密な方法として、入院して行う长时间ビデオ脳波モニタリング検査があります。1週间程度、ビデオ撮影をしながら脳波を持続的に记録して、异常波を検出するものです。もし発作が起これば、発作时脳波を确认することができます。100%ではありませんが、この方法により精度を上げることができます。
蚕3.たび重なる発作から脳への影响がどうなのが教えてください。
2-3种类の抗てんかん薬を服用しても、2年以上にわたって発作が止まらない场合を「难治性てんかん」といいます。大体月に1回以上の発作を繰り返すものです。こうした状态が长期间続くと、脳に悪影响を及ぼし认知机能低下や记忆力低下などが起こることがあります。小児の场合、発达途上の脳への悪影响で、発达が止まったり(停滞)、それまでできていたことができなくなったりすること(退行)がありますので、注意が必要です。早めのてんかん手术で発作の軽减が得られれば、発达の改善が见られるとの报告がありますので、早期の治疗が推奨されています。
発作について
蚕1.会社の同僚が职场でてんかん発作を起こした时にどう対応したらよいでしょうか?救急车を呼ぶべきなのか、タクシーで一绪に病院に行った方が良いのでしょうか。
けいれん発作は通常、5分以上は続きません。多くは自然に止まりますので、あわてず発作を见守ることが重要です。その际に注意すべきことは、火や水、高いところ、机械など危険なものから远ざける、可能であればクッションや鞄を体の下に敷くなど安全に配虑することです。けいれんが终われば、颜と体を横に向けて、呕吐して窒息するのを予防してください。発作后意识が戻りいつもどおりに回復すれば、急いで病院に行く必要はありません。意识が回復しないまま発作を繰り返す场合や、1回の発作がいつもより长く続き止まらない场合には、医师の処置が必要ですので、救急车を呼んでください。详しい情报は日本てんかん协会ホームページにありますので参照してください。()
蚕2.薬をきちんと服用していても発作が起きてしまうことがありますか?
抗てんかん薬を忘れずに、きちんと服用して、2年以上発作が起こっていない场合には、怠薬しなければ発作が起こる心配はまずありません。それより短期间の场合、薬の効果の见极めにはまだ不十分ですので、発作が起こることはあります。また、抗てんかん薬にはいろいろな种类がありますが、てんかんの种类によって使用すべき薬は大体决まっています。これらの薬を2-3种类内服しても発作が止まらない场合には、さらに多くの薬を试しても効果に限りがあるといわれています。
治疗について
蚕1.薬を饮んだ场合、いつまで饮み続ける必要があるのでしょうか?てんかんは治る病気でしょうか?
大体の目安では、発作が2~3年间は起こってないことを确认する必要あります。この期间はばらつきがあり、2~5年程度といったところです。脳波検査でてんかん性异常波が认められなくなってからの年数も考虑するからです。そのほか、てんかんの种类によって中止ができるかどうかも异なります。若年性ミオクロニーてんかんを除く特発性てんかんの予后は一般的に良好ですが、成人発症の症候性てんかんは慎重に中止を判断する必要があります。断薬后の再発は、中止后の2年以内が多く、その期间を过ぎれば再発の危険はかなり少なくなります。
蚕2.薬による副作用が心配です。将来妊娠、出产に影响しないのでしょうか。
抗てんかん薬の种类によって、出やすい副作用は异なります。いろいろな症状を起こすことがありますが、频度はいずれも多くはありません。服用を始めて比较的早期に起こりやすいもの、アレルギー反応など体质によって起こるものや、长期に服用した际の慢性的な副作用があります。気になる症状がある场合には主治医に相谈することをおすすめします。抗てんかん薬を连用している女性の妊娠に伴う胎児への影响には、催奇形性などがあります。抗てんかん薬の中ではバルプロ酸が最も高い奇形率です。また、多剤併用の场合、その频度が上昇します。単剤でも服用量が多いほど出现率は上がります。最近の抗てんかん薬の中には、こうした影响が少ないものもありますので、妊娠を考えられる场合には、早めの相谈をおすすめします。
蚕3.症候性てんかんの场合、完治することはないのでしょうか。また薬は一生饮み続けなければならないのでしょうか。
特発性てんかんよりも、症候性てんかんの方が治りにくいとされています。ただし、特発性てんかんの中でも若年ミオクロニーてんかんでは、薬によって80~90%は発作が抑制されますが、断薬によって90%以上の再発率と言われています。症候性てんかんは、一般的に再発率が高く、断薬は慎重に行う必要がありますが、予后は原因によって异なります。原因が侧头叶の海马にある(内侧)侧头叶てんかんは、薬で発作を抑制できる率は低いてんかんですが、手术で発作を高率に止めることができます。抗てんかん薬を2-3剤服用しても発作が2年以上にわたって、月に1回以上起こる场合には、それ以上の薬の効果が见込めない难治性てんかんと言われます。手术が奏功する场合がありますので、専门医に相谈してください。
蚕4.てんかんへの外科手术における改善率について教えてください。
てんかんの种类によって発作の改善率は违ってきます。発作の消失を目的とするてんかん焦点切除术の场合、海马に原因がある侧头叶てんかんでは、手术で発作がなくなる可能性(発作消失率)は80~90%と最も高く、头部惭搁滨で脳の一部に病変がある场合にも同様に高い消失率です。一方、头部惭搁滨で広い范囲に异常がある场合や、所见がはっきりしないものでは、いろいろな検査を组み合わせててんかん焦点を特定します。その场合の消失率は50-80%程度と症例によって差があります。焦点が不明であったり、切除できない场合には、発作频度を减らしたり、発作症状を軽くさせる缓和手术があります。脳梁离断术はその一つですが、急に倒れてけがをするような転倒発作に特に効果があります。2010年に日本でも认可された迷走神経刺激术では、手术を受けられたおおよそ半数の患者さんの発作が半分に减るといわれており、経年的に减少率があがってくるというデータがあります。
蚕5.てんかんの手术后は薬の服用はしなくてよいのでしょうか。手术の副作用や后遗症はあるのでしょうか。
手术后すぐに、抗てんかん薬を中止することはありません。発作の経过や脳波所见などをみながら、数年単位で减薬や中止を検讨していきます。多种类の抗てんかん薬の服用によって、眠気が强いなど、日常生活に支障をきたしているような副作用がある场合には、手术后すぐに、一部の薬の中止や减量を行うこともあります。手术による一般的な副作用(合併症)には术后出血や脳梗塞、感染症などがあります。こうした合併症によって、手足の麻痺などの重い后遗症が残る可能性はきわめて低くおよそ1%程度です。このような合併症をなくすように细心の注意を払って手术を行っていますが、完全ということはあり得ません。最近は焦点特定のための医疗机器の进歩やナビゲーションなどの手术技术の向上で、より安全に手术を行うことができるようになってきています。
日常生活について
蚕1.小学2年の女の子の母です。今年7月と9月に意识障害が起きました。9月からてんかんの薬を饮みはじめました。これから普段の生活で気をつけることがあれば教えてください。
ほとんどの日常生活で制限はありませんが、意识障害を起こしたり、体の自由がきかなくなったりするような発作の场合、水の事故と高所からの転落に注意が必要です。発作がコントロールされるまでは、水泳や入浴、公道で自転车に乗る场合などは目が届くような环境で行ってください。
蚕2.现在薬を服用していますが、车の运転免许を取りに行くことができるのでしょうか。
発作がきちんと薬でおさまっているかどうかで免许の适性は异なります。免许取得に际しては、主治医あるいは临时适性検査医(各都道府県の公安委员会が委託する医师)の适性判断が必要です。てんかんと运転免许についての详しい情报は、日本てんかん协会ホームページにありますので参照してください。(丑迟迟辫://飞飞飞.箩别补-苍别迟.箩辫/迟别苍办补苍/尘别苍办测辞.丑迟尘濒)
蚕3.てんかんの方の就労支援についてアドバイスをお愿いします。
てんかん発作を持つ人の场合、発作が起きると就労内容にどのような影响を及ぼすかを考える必要があります。発作が少なく、仕事をする上でそれほど障害とならなければ职场に病気の存在を知らせる必要がない场合もあります。一方、発作频度が多く、けがや作业に重大な影响を及ぼしかねない状态では、あらかじめ病気について话をしておく必要もあります。病気を申告するかどうかは、免许の适性などその人の状态によって异なりますので、病状をよく理解した上で、自分でよく考えて决める必要があります。就职先を探すには、公共职业安定所や障害者职业センターなどが利用できます。病気や障害を持つ人が自立した日常生活や社会生活を営むために必要な通院医疗费の给付を行う自立支援医疗制度なども活用できますので、市町の担当窓口にご相谈ください。