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研究者への轨跡

トランスフォーマーの生物科学

氏名:矢尾板 芳郎

専攻:生物科学専攻

职阶:教授

専门分野:両生类のメタモルフォシスの分子机构

略歴:
昭和54年:东京大学卒业
昭和54年?55年:东京大学大学院博士课程
昭和55年?58年:大阪大学大学院博士课程修了(学位取得)
昭和58年?60年:大阪大学助手
昭和60年?平成2年:京都大学助手
昭和62年?平成2年:米国Carnegie研究所のResearch fellow
平成2年?平成12年:(财)东京都神経科学総合研究所副参事研究员
平成12年:现职

 

生物界のトランスフォーマーと言えばカエルや昆虫の変态(メタモルフォシス)だろう。オタマジャクシはカエルの子だということは谁もが知っている。この现象は水中から陆上の生活に适応するためにあり、手足が出て、尾が消えるものである。しかし、実际はそれ以上の形态変化であることを知っているに人はかなり少ないだろう。メタモルフォシスは甲状腺ホルモンという、比较的単纯な构造を持つホルモンによって诱导される。人间の甲状腺はのどのにある组织であり、そこから分泌される甲状腺ホルモンは新陈代谢や细胞のエネルギー合成を高める働きがある。これがオタマジャクシに作用するとカエルに変化させることになるから不思议だ。その时には、雑食(草食)から肉食に変わることもあって、小肠が10分の1から5分の1へ、同様に肉を消化できるように膵臓も変化する。当然、饵も変わるので脳も変态する。もしも、脳内での甲状腺ホルモンの作用を妨害してやると、饵を取れないカエルが生じて死んでしまう。足を支配する神経细胞が発达し、尾の运动を司る神経は缩小する。エラもなくなり、头の形も大きく変化し、それに伴い顎が変形し、鼻の场所が変わり、目の位置も前の方に移动して立体视が可能になり、动く虫を捕まえることができるようになる。泳ぎに関係していた背中の筋肉も大きく减少する。それだけでない。赤血球も免疫系も皮肤も入れ替わり、窒素の排出も鱼で见られるアンモニアから哺乳类と同じ尿素になる。生体内の器官のほとんどが(种によって违うが)一週间ぐらいで変化するのである。
 

甲状腺ホルモンによるメタモルフォシスはある种のウニにも起きる。浮游性の生物から岩等にくっついて生活する时である。ヒラメ、カレイも稚鱼の时は普通の鱼であるが甲状腺ホルモンによるメタモルフォシスにより大きな背鰭が缩小して、颜の构造が変形して眼が片方による。鮭も甲状腺ホルモンの上昇と一致して海へ向かうようになる。爬虫类、鸟类、哺乳类では水に溶けている酸素から空気の酸素を用いるようになる时、即ち、羽化や出产の时がメタモルフォシスと考えられている。その时に、赤血球や皮肤や様々なタンパク质の遗伝子発现が幼生型から成体型へ変化する。哺乳类の出生の场合は甲状腺ホルモンの上昇が観察されている。
 

私は小さい頃からオタマジャクシをおもちゃ代わりに遊んでいたのでカエルのメタモルフォシスのことについて多少は知っていたが、これ程凄い現象だということを学んだのは20年程前に米国のカーネギー研究所のDonald D. Brown博士の研究室に留学した時のことであった。現在、遺伝子発現から発生の機構を明らかにすることが常識になっているが、その50年程前からDonald D. Brown博士は遺伝子発現と発生の関係を研究してきた発生学の巨人である。メタモルフォシスの研究はDonald D. Brown博士にとってポストドクターの時からの夢であったが、当時の生物科学では解析は不可能であり、断念していた。私が留学した頃にヒトの甲状腺ホルモン受容体遺伝子が初めてクローニングされ、Donald D. Brown博士は私とメタモルフォシスの研究を開始した。私は留学前に遺伝子解析に関する分子生物学には自信があったので、留学の第一目的は「その知識を活用するための面白い生物現象を決めること」としていた。そうであったのでメタモルフォシスの研究は私にとっても極めて重要なものに見えたし、現在も意欲を持って続けている。
 

私が研究者になることを决心したのには、その魅力にある。研究とは新しいことを発见して、この知识を多くの人と共有し、刺激し合って、新たな発见へと进んでいくことである。その知识を人に教えることが教育である。この研究の魅力は第一に多くの人に言いつくされているように「新発见の喜び」である。稀にしか体験できないが、自分が大事な问题だと思っていることの解答が得られたときの喜び、兴奋は表现できない程である。第2の魅力は「新しいことを発见して论文にすれば、それが少なくとも百年以上は残る」ことである。事実、私の祖父が书いたドイツ语の论文の存在を百年后に知ったし、论文を书いている时に百年前の论文を引用することがある。つまり、心血を注いだ、自分の生きた証が自分の名前とともに世界各国に残るのである。これは、天才的な执笔家、芸术家以外、他の职业ではなかなか得られないものであると思う。これらが私を研究者の道に进めた大きな要因である。
 

私は自分が面白いと思う科学现象を研究できるということはすこぶる幸せなことだと思っている。自分だけかもしれないが、梦中になれるものを持って研究教育活动に従事し、自分の知力を出し切った论文を书き、后世に残せる职业に就けたことを感谢している。现在、研究者を取り巻く环境は决して手放しで喜べるものではないが、多くの若い人たちが研究者の魅力を理解し、できれば生物科学、特に両生类のメタモルフォシスに関心を持っていただければ幸いである。


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